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ストレンジャー(2022)
路上の植木鉢の群れの中に、自身で制作した「植木鉢の彫刻」を紛れ込ませ、撮影した一連の写真作品。
「街のあちこちで、玄関先や店先に植木鉢の群れが形成されているのを見かける。
それぞれの群れに持ち主がいて、そこで暮らす人々の生活が垣間見えるように思える。私的な空間が外へとはみ出しているようで、好きだ。そんな、誰かの内の空間と外の世界とのはざまのような植木鉢の群れに、自分の植木鉢を持ってきてこっそり置いてみることを思いついた。
わたしは植木鉢の彫刻を持ち歩く。持ち歩いて、あちこちの植木鉢の群れの中へと忍ばせてまわる。
置いて、写真を撮って、持ち去る。また次の群れを探す。
植木鉢の彫刻をかばんに入れて出かけて、置いてまわることを繰り返しているうちに、この行為が彫刻の置き場所を探していることのように思えてきた。
わたしは身近な世界の中へと自分の彫刻を隠し込もうとしているようであった。
わたしは自分の手によって作られた彫刻が、世界にとって唯一の異物であるように感じている。
自分の彫刻だけが、身の回りのものの中でおさまるべきところへおさまっていないように感じるのである。
そんな異物な存在も植木鉢の群れの風景の中では、存在することを許されているようだった。
植木鉢の群れは、この彫刻を、目立たせることもなく、見えなくさせることもなく、ただ置かれているこ
とを許しているように思える。」
ー「TOKAS-Emerging2022」展覧会カタログより抜粋